シネフィル以外お呼びでないようなタイトルだが、原題は『Spectateurs!』だという。映画という形式に強い思い入れがなくても疎外感を覚えなかったのは、この作品を劇場で観ている時点で「観客」であることは確約されていたからだと思う。ジャンルの横断と時系列の縦断を、無数の引用の推進力を借りてしているのが好みだった。
ポスターには、本編で触れられている名作のタイトルが列挙されている。この手のリストは航海図を得たような気持ちになれる。今年は多く劇場に足を運んでみたいと思っていたが、その気持ちが後押しされるような内容で幸先がよかった。